大阪府精神障害者保健福祉手帳の各種様式の概要
記入要領
・大阪府 手帳用診断書記入のガイドライン [別ファイル]
精神障害者保健福祉手帳の各種申請・届出様式
お問い合わせ…大阪府こころの健康総合センター 企画課 電話06-6691-2823(直通)
・障害者手帳申請書(居住地の変更の届出書) 様式第4号(第5条関係) [別ファイル] ※3枚複写して使用してください
・診断書(精神障害者保健福祉手帳用) 様式第5号(第6条関係)[表面] [別ファイル] (H23.4月改正) A3サイズで印刷してください。
・診断書(精神障害者保健福祉手帳用) 様式第5号(第6条関係)[表面] [別ファイル] (H23.4月改正) A3サイズで印刷してください。
・診断書(精神障害者保健福祉手帳用) 様式第5号(第6条関係)[裏面] [別ファイル] (H23.4月改正)
・同意書(年金事務所照会用) [別ファイル] 障害年金証書の写しを添えて申請する場合は同意書が必要です。
・障害者手帳記載事項変更届 様式第6号(第7条関係) [別ファイル]
・障害者手帳再交付申請書 様式第7号(第8条関係) [別ファイル]
・精神障害者保健福祉手帳申請取り下げ書 [別ファイル]
・精神障害者保健福祉手帳返還届 [別ファイル]
サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム、アンケート及び登録情報集計結果(全国)分析
調査結果
(1)要支援・要介護度別の割合
サービス付き高齢者向け住宅入居者の平均要介護度は「1.1」であり、単身の在宅高齢者の「1.4」
よりも低く、約96%とほとんどが要介護2以下の軽度であった。
住宅型有料老人ホームは平均で「2.3」であり、要介護度2までの軽介護が約62%、要介護3
以上の中~重度の割合は約38%であった。
在宅の単身者では、約82%が「要介護2以下」の軽介護であり、約18%が「要介護度3以上」
の中~重介護であった。
施設入所者については、「要介護3以上」の中から重介護が約72%を占め、平均要介護度も「3.3」
となった。
※サービス付き高齢者向け住宅、及び住宅型有料老人ホームの入居者の中には住民票を当該住宅に移していな
い者もおり、その場合については今回の調査方法では介護度及び介護保険利用状況を把握できない。
※平均要介護度の算出方法に関しては、要支援1及び要支援2は「0.375」で計算を行った。
(2)介護保険利用状況
「サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームの合算」と「単身の在宅高齢者」と
の比較では、要支援1と要介護4でほぼ同じであった他は、「サービス付き高齢者向け住宅と
住宅型有料老人ホームの合算」の方が利用額が高かった。特に要介護1~3までの軽~中介護
度においては1割以上の差がついた。
また、施設入所との比較においては、どの要介護度においても「サービス付き高齢者向け住
宅と住宅型有料老人ホームの合算」の方が利用額は少なく、特に「要支援1」「要支援2」で
は2倍以上の差が、要介護1、2でも1.5 倍以上の大きな差がついた。
※各要介護度別ではサンプルが少ないため、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームは合算と
した。それぞれの実態把握をするためには、よりサンプル数が多く得られる自治体で調査を実施する必要
がある。
4.まとめと考察
今後、都市部を中心に高齢者人口、及び高齢者単身・夫婦世帯が急増することを受け、「サー
ビス付き高齢者向け住宅」が、2011 年4月27 日に成立した「改正高齢者住まい法(高齢者の居
住の安定確保に関する法律)」により創設され、同年10 月20 日より登録が開始された。
高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)、高齢者専用賃貸住宅
(高専賃)を廃止し、サービス付き高齢者向け住宅に一本化するとともに、一定の基準を満たし
た有料老人ホームも登録できることになった。
複雑な高齢者向け住まいの体系をシンプルにし、ハード・ソフトの最低基準を設けて質を担保
しつつ、補助金や税制優遇、融資による支援措置を実施して、供給促進が図られている。介護や
医療サービスを外付けする形態が主流で、地域包括ケアシステムと連動し、入居者のニーズや心
身の状態に合わせて柔軟にサービスを付帯させ、「介護等を受けながら住み続けられる住まい」
としての普及が期待されている。
登録開始からおよそ1年半で10 万戸を超えたサービス付き高齢者向け住宅の実態について、
特に入居者像やサービス提供実態に焦点化し、本調査で明らかになった現状を踏まえ、課題を整
理する。
4-1.サービス付き高齢者向け住宅の現状及び課題について
(1)サービス付き高齢者向け住宅の利用者像
・要介護度/入居者の約83%が要介護認定を受けており、平均要介護度は1.8 であった。
/自立12.8%、要支援16.2%、要介護1・2 38.4%、要介護3 12.6%、
要介護4・5 15.7%であり、重度者にも一定程度対応していた。
・認知症 /日常生活自立度Ⅰ約30%、同Ⅱ約30%、同Ⅲ約20%、同Ⅳ約10%であった。
・医療 /「喀痰吸引」「経管栄養」「点滴」「疼痛管理」のいずれかを必要とする者が入居して
いる物件が、22.0%あった。
・入居経路/自宅から57.2%、医療機関から18.1%、介護保険三施設から4.8%であった。
・退去経路/死亡23.9%、介護施設21.0%、医療機関17.2%、家族宅等12.3%であった。
・想定している所得階層/中間所得層57.5%、低所得層17.4%、高所得層10.1%であった。
住戸のスペック(約75%が25 ㎡未満で住戸内に浴室やキッチン等を備えていない)
を加味すると、サービス付き高齢者向け住宅は、介護を必要とする中間所得層のための住宅とし
て位置づいていると判断できる。ただし、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム等の施設系サービスに比べると、対象者像は幅広く、要支援レベルからも入居している。開設から
間もない住宅が多い中、要介護4・5が一定程度いること、退去経路:死亡が1/4を占めるこ
とから、「終の棲家」として一定程度機能している実態も把握できた。医療ニーズにも一定程度、
対応できていた。
補助金等の供給促進策により供給量は今後も増えるとみられることから、重度化した際にも居
住を継続できる体制を整えておかないと入居者確保が難しくなるだろうという意見が、事業者か
ら聞かれた。
一方、自立者は約13%に過ぎず、「早めの住み替え」ニーズに対応した物件は少ない。「早め
の住み替え」を意識したサービス付き高齢者向け住宅は、高所得層向けとして事業企画されてお
り、一般的な高齢者向け住宅とは、利用者像、費用負担、住戸スペックなどの面で違いがあった。
団塊世代の高齢化により、現時点では介護が必要ないものの、日常生活に不安をもつ単身高齢者
等の住み替えニーズは一定程度あるものと考えられ、そのような層が求めるサービスや空間を今
後開発していくことも、期待される。
事業者が想定している所得階層は中間所得層が57.5%であったが、一方で、低所得層が17.4%
あった。低所得層向けほど入居率が高い傾向にあった。また、低所得層は、中間所得層や高額所
得層に比べて、医療機関からの入居割合が高かった。医療機関等から自宅に戻れない低所得層の
受け皿としても、サービス付き高齢者向け住宅が一定の役割を果たしている実態が伺えた。
(2)状況把握・生活相談を担う職員の配置状況と求められる役割
サービス付き高齢者向け住宅では、状況把握と生活相談が必須のサービスであり、ケアの専門
家が少なくとも日中建物に常駐し、これらのサービスを提供する。このスタッフの配置状況や資
格の有無は以下のとおりであった。
・職員配置/日中のみ16.8%、夜間は宿直のみ20.4%、夜勤配置61.3%
・保有資格/ホームヘルパー2級以上60.4%、介護福祉士46.5%、ケアマネジャー22.5%、看
護師11.9%、社会福祉士7.5%(複数回答)。
※中心となる状況把握・生活相談職員1名について
・勤務形態/専従43.9%、併設事業所との兼務54.6%(訪問介護との兼務57.5%、通所介護と
の兼務17.5%、小規模多機能7.3%等)
入居者像によって、状況把握・生活相談を担う職員の配置状況や、職員に求められる業務内容
には違いがあった。
職員配置については以下のような違いがあった。夜勤を配置している住宅は、日中配置のみの
住宅や宿直で対応の住宅に比べて、平均要介護度が高い、要医療者がいる、認知症への対応可、
看取りの実績あり、といった傾向があった。
実施している業務内容については以下のような違いがあった。自立や軽介護者を対象とした住
宅では、①地域行事や行政サービス等の日常生活に関する相談が比較的多く、②入居者同士や地
域住民とのコミュニティ形成支援の役割を担う傾向がみられた。状況把握に関しても、③住戸へ
の定期的な訪問よりも日常生活の中での見守りで対応していた。一方、中重度者を対象とした住
宅では、①コミュニティ形成支援等よりも、「ゴミ出し」や「洗濯サービス」等の実際の生活を
支えるサービスや権利擁護の視点などが求められ、場合によっては②夜間を中心に短時間の排泄
介助等を行っていた。③安否確認も定期的な住戸訪問や共用食堂での確認を中心に行っていた。
また、事例調査からは、併設の介護事業との組み合わせによっては、夜間時に排泄ケアを中心
とするケアワークを担う場合があった。
以上から、状況把握・生活相談の職員には、ソーシャルワーク、ケアワーク、コミュニティワ
ーク、看取り、権利擁護といった広範な知識と技術が求められており、対象者像によって重視す
べき知識と技術が異なることがわかった。
併設事業所との兼務が半数を占めること、サービス付き高齢者向け住宅が要介護者を対象とした住宅となっていることなどを考えると、状況把握・生
活相談と介護の連携方法についても課題となる。このような専門職能に加えて、居住者の生活を
よく把握していることから、家族のような関係やよき隣人としての関係を利用者と結んでいる実
態もあった。このような情緒的なつながりを、状況把握・生活相談の職員に求められる役割とし
てどのように位置づけるかは今後、議論が必要であろう。
現状では、状況把握・生活相談の職員の役割や業務があいまいで、現場職員からもとまどう声
が聞かれるが、さらに当該職員の実態調査を重ねて、業務マニュアルや研修カリキュラムが検討
される必要がある。
(3)状況把握・生活相談サービス費用
状況把握・生活相談に係る費用は、専任で配置しているのであれば、この業務を担う職員の人
件費(法定福利費等含む)を居住者数(稼働率を加味する)で除することで算出される。しかし
ながら、兼務が多く有資格も様々であるうえに、単体で収益をみるのではなく家賃や介護保険事
業などを組み合わせて収益のバランスをとる場合があり、その費用の根拠は利用者からみると分
かりにくいとの指摘がある。状況把握・生活相談に係る費用については、以下の結果が得られた。
・費用/平均19,479 円(0円を除く)。
・夜間職員の配置率/1万円未満67.0% 1万円以上2万円未満85.4% 4万円以上91.2%
・地域区分との関係/1級地21,373 円、2~4級地23,461 円、5級地18,926 円、
6級地14,431 円、その他10,419 円
・平均要介護度との関係/一定の傾向は確認できなかった
・住戸数との関係/一定の傾向は確認できなかった
・要医療者の有無/一定の傾向は確認できなかった
・併設事業所の有無/一定の傾向は確認できなかった
状況把握・生活相談に係るサービス費は、職員配置とエリアによる違いは確認できたものの、
それだけでは価格の巾の広さを説明できないことが改めて確認できた。
◆配置人員に比べて状況把握・生活相談サービスの費用が相対的に安い場合の理由としては以下
が考えられる。
・併設事業所の職員と兼務しており、併設事業所の業務の一環として状況把握・生活相談サー
ビスを実施しているケース
・専従ではあるが、併設の事業所の収支とトータルで経営指標を吟味し、実質的に介護保険事
業による収益を含めて住宅全体の事業を成り立たせているケース
・家賃や共益費等とサービス費が厳密に切り分けられていないケース
◆配置人員に比べて状況把握・生活相談サービスの費用が高い場合には、以下が考えられる。
・状況把握・生活相談以外のサービス、具体的には介護報酬の支給限度額を超える介護サービ
ス、介護保険の対象とはならない一部の生活支援サービスをカバーしているケース
・上記と関連するが、医療ニーズや介護ニーズが高い者が多く入居しており、有資格者配置(看
護師など)を必要とするケース
状況把握・生活相談サービスの費用を介護報酬に依存することは、効率的で効果的な利用とい
う介護保険の主旨に抵触する恐れがあるだけでなく、3年毎の介護報酬の改定によっては事業構
造の大幅な見直しや、居住者の意向に沿わない介護保険サービス利用となる可能性もあり、慎重
な対応が望まれる。消費者にとって、状況把握・生活相談の費用の根拠と、その費用で受けられ
るサービスが明確であることが望ましい。。
一方で、兼務によって状況把握・生活相談の費用を抑え、重度化した際の「隙間」のサービス
や支給限度額を超えるサービスを定額で提供できている実態は、事業者個々の創意工夫でもあり、
消費者にとってもメリットがある。小規模多機能型居宅介護、複合型サービス、定期巡回随時対
応型訪問介護看護などの包括報酬サービスが浸透していない現時点では、これらの取り組みを評
価する視点も重要である。。
いずれにしろ、状況把握・生活相談の内容と費用に関して、住宅の費用と切り分けたうえで、
介護報酬との関係をどのように調整するかについて、今後も検討が必要であろう。
(4)併設の介護事業所によるサービスの提供方法
要介護者を支える仕組みとして、介護サービス事業所を併設し、入居者がそのサービスを利用
するモデルが一般的であった。この場合、併設事業所の職員が状況把握・生活相談を兼務し、夜
間も職員を常駐する体制を整えている物件が多かった。併設事業所については、以下の調査結果
が得られた。
・併設種別/訪問介護54.9%、通所介護49.2%、居宅介護支援41.2%、小規模多機能14.7%、
定期巡回随時対応型訪問介護看護5.7%、訪問看護18.3%、診療所9.9%
訪問介護、通所介護、居宅介護支援、小規模多機能、定期巡回随時対応型訪問介
護看護のいずれか1つ以上を併設している物件は81.7%
・地域へのサービス提供実績/訪問介護62.2%、通所介護87.4%、居宅介護支援83.7%、小規
模多機能81.4%、定期巡回随時対応型訪問介護看護37.0%、訪
問看護76.9%、診療所88.8%
事業モデルとしては、何らかの介護事業所を併設させ(併設率は約82%)、医療は地域の医療
機関や訪問看護ステーションと連携をとるタイプが一般的であった。最近は、在宅療養支援診療
所も増えてきているため、連携先の医療機関を探すことが比較的容易になっているという。
平均要介護度が高い物件ほど、通所介護、訪問看護の併設率が高くなる傾向がみられた。また、
訪問介護、居宅介護支援事業所は物件の住戸数が多くなるほど併設率が高く、小規模多機能型居
宅介護は物件の住戸数が少ないほど併設率が高い。
物件の半数近くが訪問介護か通所介護もしくは双方を併設しているが、入居者の生活リズムに
あわせたケアプランを組み立てるためには、訪問系サービスを基本としながら、適宜、通所サー
ビスを組み合わせることが適切といえる。この意味で、併設のデイサービスの利用を主軸に支え
る仕組みは、デイサービスの主な目的が実態として「社会参加」と「(常時に高齢者を見守る役
割をはたしている)家族の負担軽減」であることを考えると、疑問が残る。
すなわち、負担軽減
の対象となる家族が存在しないため(夫婦入居の場合はこの限りではない)、社会参加を目的に
デイサービスを利用していると解釈すると、同一建物のデイサービスに移動して同じ住宅に住む
高齢者と日中を過ごすことを社会参加とみなすことには無理がある、ということである(もちろ
ん、デイサービスの利用者の多くが地域住民であれば、この限りではない)。
ただし、定期巡回
随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護などの包括報酬サービスが充実していない現
状では、訪問介護に比べて時間当たりの単価が低いデイサービスを利用することで、支給限度額
内で介護保険サービスを利用できる時間(≒高齢者を見守る時間)を最大限確保する、デイサー
ビスに配置されている看護職を活用して健康状態の把握を行う、というメリットも指摘できる。
訪問介護を中心に組み立てる場合は、アセスメントを適正に行い、PDCAサイクルをまわし
ながら、過不足ないサービス提供とすることが欠かせないとの意見があった。
地域包括ケアの概念からいえば、併設の介護事業が住宅内に加えて地域にもサービスを展開す
ることが望ましい。しかしながら、入居者の平均要介護度が高くなるほど、また住戸数が多くな
るほど、併設事業所による介護サービスの外部への提供割合が低くなる傾向にあった。
これにつ
いて、事業者からは、事業者が保有する人的資源の戦略的活用、住宅と地域とで異なるサービス
提供手法、既存の居宅介護サービスとの競争優位の可能性など、事業者の経営戦略への理解を求
める意見があった。定期巡回随時対応型訪問介護看護を例にとると、住宅内にサービスを提供す
る場合と地域にサービスを提供する場合とでは、随時と定期の組み合わせと回数、勤務者のタイ
ムテーブルの組み方、契約ヘルパーと常勤ヘルパーとの比率などは異なっており、どちらにも軸
をおかないビジネスモデルの確立は難しく、住宅に資源を集中させることとなる。
地域にサービ
スを提供するためには、人材確保を含めて事業所の規模を漸増させるのではなく、住宅チームと
地域チームの双方を組める程度に規模を大きく拡大すること、それだけのニーズが地域にあるこ
と、が必要となる。
いずれにせよ、地域へのサービス提供への見通しを見極めたうえで、適切な
ビジネスモデルを確立する必要があろう。
(5)要介護者の支え方
要介護度が高くなった際に入居者を支える仕組みは事業者によって様々であるが、その基本は、
状況把握・生活相談に係るサービス、介護保険サービス、自費サービスを如何にして組み合わせ
るかである。
この点をアンケート調査で明らかにすることは難しく、事例調査を行った。その結果、①訪問
介護事業所を併設することで、効率的に介護を提供できる体制を整え、介護保険の支給限度額を
超えて自己負担になりがちな夜間の排泄介助や訪問介護では算定できない短時間の介護等を介
護報酬の収益でカバーするケース、②小規模多機能型居宅介護事業所や定期巡回随時対応型訪問
介護看護事業所といった包括報酬のサービスを併設するケース、③通所介護や訪問介護の支給限
度額を超えた部分のサービスを状況把握・生活相談サービス等に組み込んで利用者に負担を求め
るケース、などが確認できた。夜勤の配置、職員の保有資格、併設事業所の種別、状況把握・生
活相談に係るサービス内容と費用で、どのように重度者を支えているかは概ね想像がつくが、事
業者の創意工夫によるところが大きく、利用者にはわかりにくい面がある。
事業者は要介護状態
の進行に応じてどのようなサービスが用意されているのか利用者に説明を行う責任が求められ
る。
(6)居住形態別にみた介護保険利用額について
介護保険の効率的運用という観点からみた場合、サービス付き高齢者向け住宅における介護保
険の利用額について、居住形態別に比較することが欠かせない。各市等の協力を得て実施した結果
は以下のとおりであった。サンプル数の関係から、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老
人ホームの合計で比較した。
・居住形態別利用額/どの要介護度においても、施設系サービス(介護保険三施設、認知症高齢
者グループホーム、特定施設)の平均額に比べて、利用額は低かった。
/在宅(単身)と比べると、利用額は高く、その差は要介護1で約22,000
円、要介護2で12,000 円、要介護3で30,000 円、要介護4で-300 円、
要介護5で16,000 円であった。
施設系サービスに比べると介護保険料の効率的な運用が実現できていると判断してよいが、一
保険者での調査結果であるうえに、母数も少ないことから、今後は母集団を広げた調査を行うこ
とが望ましい。また、利用者の観点にたてば、介護保険の本人負担分、住宅費用、状況把握・生
活相談に係る費用の合計額を、施設系サービスと比較することも今後の調査では必要と考える。
(7)契約書のあり方
一般に、サービス付き高齢者向け住宅では、入居者と事業者との間で、居室を含む建物全体を
利用するための「賃貸借契約」のほか、必須サービスである「状況把握・生活相談サービス提供
契約」、「状況把握・生活相談サービス提供契約以外の高齢者生活支援サービス提供契約」を締結することになる。
このとき、契約書の形式として、厚生労働省と国土交通省は、「賃貸借契約」
と「状況把握・生活相談サービス契約」を統合した契約書、すなわち、「参考とすべき入居契約
書」(以下「参考契約書」)を提示している(平成23 年10 月18 日付け・老高発1018 第1 号・国
住心第45 号)。そのような形式を提示した趣旨は、サービス付きの住まいである以上、必須サー
ビスである状況把握・生活相談サービス部分のみが居住の提供と切り離され、解除されないよう、
契約書でもその点を明らかにしておくことにある。
いいかえれば、参考契約書は、状況把握・生
活相談サービスが居住の提供と一体性を持つものであるという点に主眼をおいたものとなって
いるため、状況把握・生活相談サービス以外のその他のサービス契約については何ら触れておら
ず、その部分は事業者に委ねられているのである。
要は、状況把握・生活相談サービス以外のそ
の他のサービス部分については、別の契約書を作成するのか、あるいは、すべて一体的な契約書
にしてしまうのか、また、そもそも、参考にすぎない契約書であるため、居住とは一体的には記
載せず、サービス部分を一括りにして契約書を作成することも何ら問題はないのである。
事実、東京都では、「生活支援サービスモデル契約書」として居住と切り離して、サービス部
分を一体とした契約書を独自に公表している。
そのような状況を踏まえたうえで、サービス提供の実態の結果をみてみると、特に住宅の運営
事業者とサービスの提供事業者が別な場合には、「状況把握・生活相談サービス」と「それ以外
のサービス」をサービス提供事業者がまとめてすべて提供する場合がほとんどであった。その一
方、契約書の形式については、先述のとおり、『「賃貸借契約書」と「状況把握・生活相談サービ
ス提供契約書」を一体とし、「その他サービス契約書」を分離』するとアンケートで答えた事業
者が約44%と半数近くを占め、また、実際の契約書を調べてみても、確かに、『「賃貸借契約書」
と「状況把握・生活相談サービス提供契約書」を一体』とした契約書は多かった。
ところが、実
際のサービス契約書の書式について調べてみたところ、結果は、「状況把握・生活相談サービス」
と「その他サービス契約書」を分離して契約書を作成しているとのアンケート上の回答があった
にもかかわらず、生活支援サービス契約書を締結する事業者の多くは、東京都の公表する契約書
のように、状況把握・生活相談サービスも含めてサービス部分を一体とした契約書を作成してい
る事業者が多いことがわかった。
要は入居者からみた場合、住宅の運営事業者と『「賃貸借契約」
と「状況把握・生活サービス契約書」』を一体として結ぶとともに、サービス提供事業者と『「状
況把握・生活相談サービス契約」と「その他サービス契約」』を事実上一体として結ぶ二重構造
になっている可能性があるということである。
このような契約書式が法的に問題があるというわ
けではないが、二重構造をもつ契約書は、おそらく入居者側にとってみれば契約書を理解する上
で、非常に分かりにくい状況にあると思われる。
その点からすると、サービス提供の実態として
『「状況把握・生活相談サービス」と「その他サービス」』を一体として提供している事業者が多
いのであれば、実情に合わせた契約書の雛型を作成することも視野にいれ、契約書の書式につい
て今後、検討する余地があるのではないかと思われる。
サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホーム、高専賃との比較
本調査、及び平成22 年度に実施した高齢者専用賃貸住宅(以下、
「高専賃」)調査の主な集計結果を整理した表である。
高円賃・高専賃・高優賃を一本化したのがサービス付き高齢者向け住宅であるが、データを比
較すると、サービス付き高齢者向け住宅は、入居者像やハード、サービス付帯の状況等をみると、
高専賃よりは住宅型有料老人ホームに近い特徴をもつ。
平成22 年度の高専賃調査においては、過半の物件が住戸面積25 ㎡以上であり、自立者も全入
居者の3割を占めたが、24 時間職員配置の物件(全体の58.2%を占めた)では、医療・介護系
事業者が運営し、医療・介護事業所の併設、施設タイプの建物形態等の特性をもっており、この
タイプの入居者の平均要介護度が1.71 と、有料老人ホームに近いことを指摘した。
本調査結果で明らかになったサービス付き高齢者向け住宅の平均像と近似しており、ケアの専
門家でもある状況把握・生活相談職員を必置としたことにより、高専賃の中で一定数を占めてい
た要介護者向けのタイプに収斂されてきていることがわかる。
高専賃の制度創設時に期待された「早めの住み替え」先というよりも、介護が必要な中間所得
層のための住まいとして認知されてきており、住宅型有料老人ホームの対象者像と重複している
実態が見られる。
費用について、単純比較は難しいものの、食費以外の月額費用は、高専賃が約8万6千円であ
ったのに対し、サービス付き高齢者向け住宅は約10 万2千円と2割程度上昇している。サービ
ス付き高齢者向け住宅は建設費補助や税制優遇等のインセンティブが設定されているが、入居者
の費用抑制効果よりは、多様な事業者の参入意欲を刺激し、供給促進が図られたものとみること
ができる。
ただ、本調査結果から、今後最も普及が期待される都市部での供給量が少なく、高額物件に偏る傾向がみられたため、家賃・人件費ともに高く
なりがちな都市部において、適正な負担で整備するための手法の開発も望まれる。
なお、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームとの違いが明確に出ているのは、
住戸内のトイレ・洗面の設置率と契約方式ぐらいであり、消費者にとってそれぞれの特徴や違いはほとんどない。高齢単身世帯の増加とともに、家族代わりとなる状況把握・生活相談職員が常
駐する住まいへの住み替えニーズもまた、高まってくると考えられる。
居住継続を図るサービス
の充実とともに、状況把握・生活相談職員の役割を明確にし、介護や医療の安心に加えて、サー
ビス付き高齢者向け住宅に住み替えることにより得られるメリットについて、わかりやすく提示
していくことが必要である。
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